大阪の建設業許可と宅建業免許に詳しい行政書士の岡田です。
今回のテーマは宅建業の免許と建設業の許可の違いについて考えます。
まず、免許と許可の違いですが、これは意味的には同じです。
正式には法律行為的行政行為の中の命令的行為であり、既に法令又は行政行為によって禁止されている一般的な禁止を、特定の場合に解除する行為となります。
意味は同じですが、慣習的に宅建業は免許、建設業は許可と呼んでいるのでしょう。
次に、業務を行う場所の呼び方ですが、宅建業では『事務所』、建設業では『営業所』と呼びます。
全ての事務所又は営業所が1つの都道府県にある場合は、都道府県知事免許又は許可
事務所あるいは営業所が複数の都道府県にある場合は、国土交通大臣免許又は許可
となることは共通です。
ただ、違いもあります。
宅建業の場合、宅建業のみを大阪の支店で行い、東京本店では建設業のみを行っている場合でも、東京本店も宅建業法上の事務所として扱い、本店についても免許が必要になります。本店であるからには、具体的な宅建業の業務を行わなくても、何らかの中枢的な機能を果たしていると考えます。
建設業の場合は、大阪支店で、建設業のみを行い、東京本店では、宅建業のみを行う場合は、建設業の許可は大阪支店のみでかまいません。単に登記上本店とされているだけで、実際には建設業に関する営業を行わない店舗や建設業と無関係な支店、営業所等は許可の対象ではないと考えます。
事務所又は営業所に置く、専門家については、宅建業の場合は専任の宅地建物取引士、建設業の場合は専任技術者が必要になります。
専任の宅地建物取宅引士は、それぞれの事務所で、宅建業の業務に従事する者5人に対して1人以上が必要です。又宅地建物取引士は、宅地建物取引士という国家資格者です。
建設業の場合は許可が29業種に分かれていますが、その許可業種の専任技術者を営業所に配置することが要求されます。一人で数業種の専任技術者であることもあれば、それぞれ許可業種ごとに数人必要なケースもあります。ただ、宅建業のように従事する者何人に1人などという決まりはありません。
専任技術者という、国家資格はなく、そのベースとなる国家資格や経験をベースに許可業種の専任技術者としての資格があるかを判断します。対象となる国家資格も多岐に渡ります。
尚、物理的に同じ事務所であれば、専任の宅地建物取引士と専任技術者の兼任は可能です。
宅建業の免許は1つだけですが、建設業の免許は29業種に分かれ、さらに下請に出す金額によって、一般建設業許可と特定建設業に分かれます。特定建設業の方が、一般建設業よりも許可のハードルが上がります。
経営者の経験を問われるのは、建設業のみです。宅建業に関しては、宅建業の経験がなくても免許取得が可能ですが、建設業は、経営業務の管理責任者として、建設業に関しての経営経験5年以上、又は経営補佐としての経験6年以上が必要です。これを証明するのが許可のハードルになることが多いです。場合によりますが、その期間における工事の具体的な証明まで必要になります。
財務的要件に関しては、宅建業免許は基本は主たる事務所1000万円、従たる事務所500万円の営業保証金を、法務局に供託しなければなりません。但し、保証協会の会員になれば、主たる事務所60万円、従たる事務所30万円の弁済業務保証金分担金を保証協会に納付することで供託金に替えられます。
建設業許可の財務的要件は、
一般建設業の場合は、
1,直前の決算において自己資本の額が500万円以上であること
2,金融機関の預金残高証明書(残高日が申請前4週間以内のもの)で500万円以上の資金調達能力を証明できること(要するに、借入でも構いません)
特定建設業の場合は
1,資本金が2000万円以上、
2,自己資本の額が4000万円以上、
3,欠損の額が資本金の20%を超えていないこと、
4,流動比率が75%以上であること
が必要です。特定建設業はかなり厳しい要件となります。
その他に、事務所、営業所の条件もありますが、それはそれほど変わません。
ただ、宅建業のほうが設備や写真等を含め、事務所要件はやや厳しくなります。
総括しますと、宅建業免許と建設業許可では、要求される条件や書類の多さ、煩雑さ、複雑さ等では建設業許可の方が時間と労力がかかります。
ただ、資金的には一般建設業であれば、借入でも可能であるため、そういう意味では建設業の方が準備が容易です。
これが大まかな宅建業免許と建設業許可の違いです。両方の免許と許可を取得しようとされる会社もあると思います。参考にしていただければ幸いです。
宅建業の免許と建設業の許可に関して、ご相談がございましたら、岡田行政書士事務所がお手伝いいたします。
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