行政書士の背景は様々ですが、とにかく頑張って勉強して、行政書士に合格して、そこそこ高い入会金を支払って、行政書士会に入会し、登録も無事済ませた、さあ、これから行政書士だ、がんばるぞ~と思ったとき、ふと、「あれ、そういえば行政書士の実務ってなんだったっけ??」となります。
なぜなら、行政書士の試験は大事で根本的な内容ではあるのですが(これはしばらく経ってから気が付きます。)実務に直結する内容は皆無だからです。
試験に合格しただけでは、正直何もできません。
そこから本当の苦労が始まります。
行政書士の仕事の範囲はとても広いのですが、端的に言えば書類の作成業務です。
1、官公署に提出する書類
2、権利義務に関する書類
3、事実証明に関する書類
行政書士法ではこうなっています。
この条件を満たし、さらに法律で他の資格者と被るものはしてはいけませんというのが決まりです。
非常に抽象的で分かりにくいですよね。
実はこの抽象性が行政書士の特徴なのです。
数学的に考えれば、全体集合Uがあって、その部分集合A、B、Cがあるとします。
この場合A、B、Cは他の法律で規定されている専門職です。
行政書士業務は全体集合の中の部分集合A、B、Cの補集合だということです。
つまり、~であることではなく、~でないことの全体なのです。
~でないことの全体を調べるのは不可能に近いことは、昔から言われています。
ちょっと話が脱線したので元に戻すと
1の官公署に提出する書類、これはなんとなくイメージがつきやすいかと思いますが、ただこれも無数にあって、ローカルルールもたくさんあり、全部覚えることなんて絶対誰にもできません。
2の権利義務に関する書類?これだけ聞いてピンとくる人は少ないはずです。
人(個人も法人も含め)権利や義務を発生させたり、消滅させたりする書類も数えきれないほどあります。
3の事実証明って一体何?になります。事実が事実であることを書類で証明します。
これでも何のことはわからないですよね。
このあたりの説明は今回は省きます。要はそういう仕事だということです。(何のこっちゃ)
実は、行政書士試験には行政書士法は含まれていません。
だから、こういう用語の意味も合格してから、登録してから知ることになる人も多いと思います。
実際、私もそうでした。
私は、不動産と建築の世界に長くいて、あるとき、神様のお告げみたいに、法律の勉強の必要性に迫られたので、すぐ紀伊国屋書店で、テキストと参考書を数冊買いこんで、とにかく合格するためにだけ、2年ほど勉強しました。
だから、試験テクニックだけは上達しましたが、実務なんてわかるわけがありません。
合格、登録後、1か月ぐらいで知り合いから、いきなり仕事を依頼されたときは、正直ビビりました。
一発目の仕事は特区民泊の認定の仕事でした。(コロナのせいで今は民泊業務は下火ですが・・)
「これはまずい・・、勢いで受任したけれど、何もわからないぞ・・。でもやるしかない」
ここからが、本当に無我夢中でした。
まずは、行政から出ている手引書を何回も、何回も、何回も読みこみました。
関係する書籍を数冊買って、これも何回も何回も何回も読みました。
保健所の担当者に何回も電話して、質問をしまくりました。(多分またか、思われていたと思います。)
消防署に事前確認に行きましたが、最初は独特の雰囲気と消防用語がわからなくて、あっけなく玉砕。
これはまずいと、又消防関係の本を買い込み、読破し、自分なりに理解して再チャレンジ。
その業務に詳しい先輩に近づき、なんとかノウハウを聞き出そうと悪戦苦闘。
セミナーなんかがあれば、当然参加。
民泊関係のホームページは全部目を通すつもりで、閲覧。
メールマガジンなどがあれば登録して情報収集。
その他にも、とにかく調べたり、見にいったりしました。
そんなこんなで、無事認定が下りたときは本当にほっとしました。
行政書士試験のテキストには、全然書いてないことばかりの連続でした。
その後、いろいろな業務を経験しましたが、どの業務も最初は似たようなものでした。
調べて、調べて、聞いて、聞いての連続。
やっていくと、業務は違えど、共通する部分もあるのでだんだん慣れてくるのですが、大体の行政書士の最初の業務はそんな感じではないかと思います。
大切なことは、冷静に全体像を見ることと、丁寧な調査、細かい作業も厭わない根気、そしてできれば、わからないことを聞くことができる先輩や仲間がいることではないかと思います。
私自身、まだ登録4年目なので偉そうなことはとても言えませんが、今日突然ふと最初の登録初期の頃を思いだしたので、書く気が無くならないうちに記録しておくことにしました。
現状にはまだまだとても満足していませんので、これからもどんどん業務をこなし、見たことがない新しい景色を見るために高みに上りたいと思います。
まだお会いしていない将来のご依頼者様、そして関係者の皆様、どうか応援をよろしくお願いします。
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